ろくろ製皿型ランプ
- 【紀元前9世紀〜4世紀】
青銅器時代から鉄器時代にかけて見られるテラコッタランプはろくろ製の皿に灯芯を安定させる火口をひねり出しただけのごく簡単なものでした。
この2点は鉄器時代のろくろ製皿型ランプの典型例で紀元前9〜7世紀頃のものと思われます。
ヘレニズムランプ
- 【紀元前4世紀〜2世紀】
紀元前4世紀末からのヘレニズム時代になるとろくろ製皿型ランプに代わって新たに考案された型押によるランプが盛行するようになってきます。
押型ランプは石やテラコッタ等で作った型に粘土を押し込んでランプの上下を作り、それを貼り合わせて焼成したランプです。
これまでのろくろ製ランプに比べて格段に装飾がつけ易くなるとともに、大量生産が出来るようになりました。
ローマンランプ
- 【紀元前1世紀〜紀元後4世紀】
紀元前1世紀からのローマ帝国の興隆とともに東地中海世界一帯に新しいタイプのオイルランプが流布するようになりました。
さまざまな形の芯道が円形の油溜に取り付けられたランプです。その最大の特徴は油溜上面の天蓋が凹形をしていて、ごく小さな注油口があけられている事です。
このような形にすることで天蓋の広い凹形面にオイルを注げば自然に油溜内に流れ込み、こぼれが少なくする事が出来るようになりました。また、広い注油口を設けなくても良いために天蓋全体を多様な文様で装飾することが出来るようになり、戦士や神像・動物などと言った具象的な文様が盛んに登場する事となり、そこに描かれていた文様などにより当時の人々の思想や社会を考察するためのさまざまなヒントを提供してくれる様になりました。
ビザンティンランプ
- 【紀元後5世紀〜7世紀】
紀元後約330年にコンスタンティノーヴル(現在のイスタンブール)が東ローマ帝国の首都となります。
この4世紀から7世紀の間、東地中海のテラコッタランプにはローマンランプの伝統を受け継ぎながら変化が生じてきました。油溜天蓋の凹みは無くなり、また注油口が再び大きくなり注油口の反対側に把手が作り出されるようになってきます。文様がパターン化、様式化します。
最もビザンティン時代らしいのは国教化したキリスト教のシンボルとしての十字架やキリスト教にちなんだ銘文などがテラコッタランプの文様として登場してくる事でしょう。
イスラムランプ
- 【紀元8世紀〜15世紀】
7世紀前半に現在のサウジアラビアを中心に活躍したムハンマド(マホメット)によってそれまでバラバラであった遊牧の民アラブ人がイスラム教の名の下に統一される事になります。
初期のイスラムランプは前代のビザンティンランプの影響を色濃く残していますが、他方大きな変化としてテラコッタと言う素焼き製のランプから 緑釉製陶器の美しいランプや金属製ランプが出現してきます。
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これは江上波夫先生(古代オリエント博物館 元館長)の詩の一節を色紙より転載させていただきました。
この色紙は平成元年NHK仙台支局60周年の記念講演に来仙された折、白石和紙に一筆を所望したときのものである。
このとき先生に心強いお言葉を頂き、お墨付きを得た心地となって、やっと私のミニコレクションが実を結んだといっても過言ではない。
夕暮れのパルミラ・シリア砂漠の中央にあり、ローマ帝国と闘った女王ゼノビアで有名な隊商都市。月が輝きを増すにつれ、各家では次々とランプの火が燈される。
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地中海周辺の古代遺跡から出土したランプを収集した渡邉コレクションの図録。テラコッタランプの歴史がひとめで分かる一冊になっています。
ご希望の方に1部 800円(郵送料別)でお譲りしております。 電話・ファックス・Emailにてお知らせください。
0224-26-2040(電話・ファックス)
sumaru@sweet.ocn.ne.jp目次(全32ページ) タイトル 著者 草原は夢の漂うところ 江上波夫 ユーフラテス川と渡辺コレクション 広瀬一隆 渡辺コレクションに見るテラコッタランプの歴史 常木 晃 コラム:聖書の中のランプ 和田久彦 コラム:コーランの中のランプ 和田久彦 コラム:日本のあかり 伊丹早苗 古都アレッポの日本人 広瀬一隆 コレクションリスト ─ ランプの変遷と年表 ─ ランプに魅せられて 渡辺信男